6.なりたい自分になる食事術 ⓷野菜を1日5皿食べる
なぜ野菜をとらないといけないの?
野菜をとることが大事なのはわかっているけど、肉やおやつほど食べたいと思わないし、高いし、手間はかかるし、そもそもなんで野菜を食べないといけないの?
という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
野菜をとることのメリットや、とらないことのデメリットは多々ありますが、今回は「腸内細菌」にスポットを当ててみたいと思います。
おなかのなかに2㎏の生物が住んでいる
みなさん腸内細菌について、どの程度知っていますか?
腸内細菌が腸内環境にかかわっていて、それが健康にも影響している事は多くの方がご存じだと思います。
では、この腸内細菌、1人のおなかの中にどのくらいいるか知っていますか?
その数、およそ100兆とも、1000兆ともいわれ、2㎏以上の重量があります。
2㎏というと、小さめの米袋くらいあります。実際に持ってみると、結構重いです。
自分のおなかの中にそんなにたくさんの、世界人口(2020年現在77億9500万人)よりもはるかに多い数の生命がいると思うと、不思議ですね。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌にわけられ、からだの健康のためには善玉菌の割合を増やすことが重要です。そして、善玉菌は私たちのおなかの中で、驚くべきはたらきをしてくれています。
病気を予防し、幸福感をつかさどる善玉菌
善玉菌は、酢酸や乳酸等をつくりだすことで、うつ症状を抑え、発がん性を持つ腐敗物質がうまれるのを防いだり、食中毒菌や病原菌の感染を予防してくれる働きが報告されています。また、なんとビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)や"幸せホルモン”と呼ばれるセロトニン等のホルモンを作り出すこともわかってきました。※1,2
ということは、健康や美容、幸福感までも腸内細菌がつかさどると言っても過言ではないのではないでしょうか。
おなかの中の小さな生き物たちが、私たちが生きる上で必要不可欠なはたらきをしてくれていると思うと、いとおしく感じてきませんか?
この善玉菌を増やす方法の一つが食物繊維をとること。
そして、食物繊維が豊富に含まれているのが、そう、野菜なのです。
いとおしい腸内細菌たちに、日ごろの感謝を込めて食べ物を送る気持ちで、野菜をたべてみましょう!
1日にどれくらいの野菜を食べればいいの?
1日に食べたほうがいい野菜の量は、350gと言われています。
生の野菜だと、両手を広げたうえに目一杯乗せたものが3個分。
火を通した野菜だと、片手の上に乗せたものが3個分。
生か、火を通したかで2倍くらい食べる量が変わります。
そのため、たくさん野菜を食べたい場合は、火を通すのがおすすめです。
また、小鉢(1皿70g程度)で言うと、5皿分が必要です。
5皿分の小鉢を食べるイメージをすると、朝1皿、昼2皿、夜2皿食べるのがよさそうです。
でも、そんなに毎回たくさんの野菜料理を準備できないよ~!と思う方が多いのではないでしょうか。
そこで、手軽に野菜をとる「クックレスミール」をご紹介します。
洗うだけ、切るだけ、チンするだけのクックレスミール
クックレスミールとは、料理の負担を減らした食事のことで、私が作った造語です。
料理って、本来楽しいもので、生きる上で身につけた方がいいスキルです。それを負担とは何事か!と怒られそうですが、クックレスミールミールを生み出すきっかけになった出来事がありました。
ママ友と一緒に遊んでいた時のこと。食事の話になりました。
私「今日の夕ご飯何にしようか?」
ママ友「最近ずーっと、ご飯何を作るか考えてる気がする。そして、ご飯を準備するためにずっと台所にいる。もう、しんどい」
この時、私ははっとしました。
家族の健康を守る食卓。でもそれを支えてる人が苦痛になってしまったら、続けていくことは難しい。そもそも、手間暇かけないと健康的な食事って準備できないのかな?
考えあぐね、私の出した答えは、ノーでした。
素材が良ければ、あれこれ手を加えなくても、美味しくて健康的な食事を準備できる!
そう実感してから、実験的に、一回10分程度で準備が完了する食事を作り始めました。もちろん、「3色そろえる」「基本の食」「野菜1日5皿とる」というルールは守った上で。
刺身こんにゃくやめかぶ、もずく、納豆、豆腐は、そのまま。
きゅうり、キャベツ、パプリカ、セロリなど季節の野菜は切るだけ。
玉ねぎなどの硬い野菜、小松菜、クレソンなどは、少し切って、チンするだけ。
里芋、とうもろこし、オクラはそのままゆでるだけ。
卵、あじの干物、切り身のシャケ、ししゃも、鳥もも肉は、焼くだけ。
味付けはシンプルに、塩とオリーブオイルか、味噌かポン酢。
そうして準備した食事は、彩豊かで、予想外に美味しかったのです!
旬の食材をシンプルな調理法と味付けで食卓に出せば、素材そのものの美味しさを味わうことができるのです。
この美味しさと簡単さにはまった私は、それ以来10年間、平日はずっとクックレスミールで家族の朝食と夕食を準備しています。
手の込んだ食事が恋しくなる時は、少し時間をかけて調理しますが、それでも30分以内。
無理せず旬の素材をバランスよく食べ続けることができたからか、私の体調はどんどん良くなっていきました。以前より病気にかかりづらくなった上、毎日快腸(1日3回出ることも!)、お肌も20代より綺麗になっている気がします。さらに、全然太らなくなりました。
クックレスミールにより、心の負担が軽くなり、食事づくりを楽しめる余裕も出てきました。
今では、梅のシロップや梅酒、紫蘇ジュース、ちりめん山椒、味噌作り、甘酒作りなど、季節の手仕事も楽しんでいます。
食事作りが苦痛になってしまった方、健康的な食事が続かない方は、心と体が軽くなるクックレスミールを、ぜひお試しください!
参考
※1 清水純、腸内細菌と健康、厚生労働省e-ヘルスネット、https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
※2 須藤信行、 脳の機能に関与する腸内フローラと「脳腸相関」、ヘルシスト242、株式会社ヤクルト(2007)
6.なりたい自分になる食事術②食事の型をもつ
バランスのいい食事って何?
よく、「バランスのいい食事」という言葉が使われます。
しかし、そもそもバランスって何でしょう?バランスのいい食事を今晩作ろうと思ったら、どんな献立にしますか?
食事は1日3回あります。毎回考えてると、献立を考えるのが苦痛になってしまうかもしれません。
そこで、あれこれ考えなくても自然と(比較的)栄養バランスがとれた食事になる、「食事の型」を3つ紹介します。
自分に合った型を使ってみてください。
□食事にも自由度、遊び心が欲しい→①マイプレート
□料理何品も作れない→②3色そろえる
□献立を考えるのがめんどくさい→③基本の食
①マイプレート
米国農務省(USDA)は2011年、健康的な食生活を促進する米国人向けの食事ガイドライン「マイプレート(MyPlate)」を発表しました。
健康でバランスの取れた食事をするための手引きになっています。
※1
お皿の半分は野菜、果物。4分の1は、全粒(白くない)穀物。残りの4分の1は、魚や鶏肉など健康的なタンパク質です。全粒穀物は、例えば玄米やそば、大麦、全粒粉パン、全粒パスタなどです。
でも、白米を食べていたのをいきなり玄米に切り替えるのは、ハードルが高いし続かないかもしれません。そこで、初めは白米に麦や雑穀、部搗き米をくわえて、しだいに白米の割合を減らしてみるのは、いかがでしょうか?
②3色そろえる
一度に何品もそろえられない〜!という方におすすめの方法です。
食品を働きごとにグループ分けして、色分けしています。
黄→主食:体を動かすエネルギーになる。ご飯、パン、麺、粉もの、芋類など
赤→主菜:体を作るもとになる。肉、卵、魚類、豆類など
緑→副菜:体の調子を整える。野菜、キノコ、海藻類など
この3色を、朝、昼、夜の毎回の食事でそろえるのです。少し難しそうに感じるかもしれません。でも、3つの仕切りのあるワンプレートにそれぞれの色の食品を入れていけばいいので、忙しい朝にもおすすめです。
例えば、我が家のある日の朝ごはんは、5分搗きご飯(黄)、プチトマト(緑)、ゆで卵または納豆(赤)です。
黄、赤、緑をそろえることを意識すれば、難しく考えなくても、比較的栄養バランスのとれた食事にすることができます。
③基本の食
食事は1日3回あるので、毎回献立を1から考えるのは大変です。
さらに、栄養バランスを考えた献立となると・・・
そこで、
健康のためにどんな献立にすればいいかわからないとき、
今晩の夕食を何にしようか迷ったとき、
立ち返ることができる食事として、「基本の食」をご紹介します。
「基本の食」は、「ごはん、具沢山みそ汁、おひたし、焼き魚」の献立です。
この献立で、野菜を二皿食べることができるうえ、主食(ごはん)、主菜(焼き魚)も入っています。
この形、「1食に何を、どれだけ食べたらよいか」という基準にを自然と満たせるものになっているんです。
「1食に何を、どれだけ食べたらよいか」のわかりやすいものさしとして、「3・1・2弁当箱法」※2があります。
「3・1・2弁当箱法」は、自分に合った容量のお弁当箱の半分に主食(ご飯、パン、麺など)、半分の3分の1に主菜(肉、卵、魚、豆類など)、半分の3分の2に副菜(野菜、海藻、キノコ類)を入れると、健康な1食になるというめやすです。
「基本の食」は、ごはん(主食)が1皿、焼き魚(主菜)が1皿、味噌汁とおひたしで副菜が2皿となっており、主食の量を調整すれば、主食・主菜・副菜が「3・1・2」となるため、簡単に「1食に何を、どれだけ食べればよいか」を満たすことができます。
また、みそ汁に使われているかつお出汁には、油や砂糖と同じようにやみつきになるような嗜好性が生じることが報告されています※3。そのため、あまいもの、脂っこい物への欲求を押さえることができる可能性が示されています※4。その他、抗肥満作用※5や疲労回復作用※6など、さまざまな健康的メリットがあることが報告されています※7。
魚は、多くの疾病に対する予防効果が報告されている優良食材であり※8、おひたしは、熱を加えることで、不足しがちな野菜をたくさん食べる事が可能となる調理法です。
こんな、いいことづくめの「基本の食」。準備するのがめんどくさそう…と思っていませんか?
実は、コツをつかめば、作業時間10分以内で完成する、超お手軽メニューでもあるのです。
焼き魚は、切り身や干物を使えば、トースターで、10~20分焼くだけでできあがります。
おひたしは、お好みの野菜をたっぷりのお湯で、2分茹で、水にさらして軽く絞ればできあがりますが、冷凍野菜を使うと、さらにお手軽に用意できます。
味噌汁も、➀だしをとる②野菜を切ってだしで煮る③野菜が煮えたら火を止め味噌をとく、の3ステップで完成する簡単メニューです。
しかし、朝や忙しいときなど、さらに簡単にみそ汁を作る方法をご紹介します。
・マグカップみそ汁
大き目のマグカップに小分け鰹節半パックくらいとみそ小さじ1、乾燥わかめや乾燥野菜、豆腐などお好みで加え、お湯(目安150㏄)を加えてよく混ぜるだけで、だしの風味の感じられるみそ汁が完成します。所要時間約3分!お試しあれ。
この「基本の食」を10分で調理できるようになったら、疲れて帰ってきた夜にも、健康的な食事をとることができるようになります。
ぜひ、一人暮らしを始める前、あるいは社会に出る前に、繰り返し作って、10分以内に準備できるようになっていてください。
また、「基本の食」をベースに、様々なアレンジを加えることもできます。おひたしの野菜を変えたり、味噌汁の具材を変えたり、焼き魚を煮魚に変えたりすることで、バリエーションは無限になります。味付けや食材など、様々なアレンジを楽しんでみてくださいね。
以上、3つの食事の型をご紹介しました。取り入れられそうなものはありましたでしょうか?
私は、朝は「3色そろえる」、昼はマイプレート、夜は「基本の食」というように、時と場合によって使い分けています。
状況に応じて、一番使いやすいものを使ってみてください。
引用文献
※1 https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/healthy-eating-plate/translations/japanese/
※2足立己幸, 針谷順子. 3・1・2 弁当箱ダイエット法.東京: 群羊社;2004.
画像:https://shokuseitaigaku.com/2014/wp-content/uploads/2014/04/rogo1.jpg
※3 伏木亨編 食の文化フォーラム24味覚と嗜好、ドメス出版235-256.2006
※4 川崎寛也他、「かつおだし」風味の食餌の初期経験が嗜好性に及ぼす影響、日本調理科学会誌36.2.116-122.2003
※5 笠岡誠一他、ヒスチジンと抗肥満、臨床栄養109.307-312.2006
※6 村上仁志、かつおだしの疲労回復効果、科学と工業、57.522-524.2004
5.なりたい自分になる食事術①おやつコントロール
甘いおやつをやめられないのはなぜ?
□今日からダイエットを始めようと思ったのに、甘いものがあると食べちゃう
□食後のデザートが習慣になってる
□甘いジュースを毎日飲んでる
□疲れている時は、無性に甘いものが食べたくなる
こんな経験ありませんか?
こんな、やめたいのにやめられない衝動にも、私たちの脳が関係しています。
そもそも、動物の本能として、カロリーの高い甘いもの脂っこいものが大好きな私たちですが、その食べすぎをコントロールしてくれるシステム2は疲れやすい弱点がありました。
さらに、変化を嫌うシステム1の特性上、これまで甘いものを食べることができていた日常を変えたくない本能が働くとともに(損失回避の法則)、ダメなことほどやりたくなる特性も働きます。
白熊のことを思い浮かべないでください
と言われた途端に白熊が頭に浮かんでしまうように、人間は禁止されたことをやりたくなる特性があります。
甘いものを食べてはいけない!
と禁止をした途端に、あまいものが頭から離れなくなってしまうのです。
そして、我慢はシステム2を消耗させてしまい、結局気がつくと食べている。。。
このことからも、甘いものを禁止するのは得策ではありません。
また、甘いものやジャンクフードは中毒性があると言われています。
実は、私たちが食べたカロリーは、すんなり体や頭を動かすエネルギーになるわけではありません。
カロリーをエネルギーに変えるためには、ビタミンやミネラルが必要なのです。
そのため、ビタミン、ミネラルの入っていない、いわゆるジャンクフードや甘いジュース類をとりすぎると、体内のビタミン、ミネラルが枯渇していきます。
その結果、カロリーをとっても、エネルギーに変えられなくなり身体は疲弊します。
すると、脳はカロリーの高い食べ物、つまり甘いものやジャンクフードを求めます。
そして、さらに体内のビタミン、ミネラルが枯渇していく、、、
という悪循環に陥りがちです。
そこで、おやつをコントロールするのに、「おやつのオキカエ」をおすすめします!
おやつコントロール① おやつオキカエ
いつも食べている、甘いおやつやスナック菓子を食べる前に、ビタミンミネラルたっぷりの素材そのままおやつを食べます。
素材そのままおやつは、果物やお芋、ヨーグルト、いりこ、かつおぶしなど、様々なものがあります。
食欲を感じた時に、簡単にすぐ食べられるものがおすすめです。
例えば、ばなな、みかんなどは皮をむけばすぐ食べることができるし、いりこや鰹節はそのまま食べることができます。実は乾燥わかめも、そのまま食べると意外と美味しいスナックなのです。※ただ、海産物は塩分も含むうえ、乾燥わかめは胃で膨らむので食べ過ぎ注意です。
おすすめ素材そのままおやつ
・果物 みかん、ばなな、りんご、ぶどう、キウイなど
・ナッツ類 素焼きのアーモンドやくるみ、ピーナッツなど
・芋類 さつまいも、里芋など
・乳製品 ヨーグルト、牛乳、チーズ など
・海産物 いりこ、こんぶ、鰹節、めかぶ、もずく、わかめなど
・その他 カカオ分70%以上のハイカカオチョコレートなど
おやつを禁止するのではなく置き換えることに対して、食べすぎや太ることが心配な人もいると思います。
もちろん、食べずに済むのであれば、それにこしたことはありません。
しかし、食べたいおやつを我慢して、がんばった挙句に結局どか食いして、おやつがやめられなくなってしまうよりは、おやつを置き換えて、上手にコントロールした方が、結果的には体重減少にもつながるのではないでしょうか。
また、肥満には、血糖値の急激な増減(血糖値スパイク)が関係しています。
清涼飲料水など、精製された糖質(見えない砂糖)を空腹時にとると、血糖値が急激に上がり、その後急激に下がります。この時、血管内では、急激に増加した糖を、「インスリン」というホルモンが細胞の中に運んでいます。細胞に運ばれた糖は、消費されなければそのまま脂肪になります。血糖値が急激に上がるほど、糖を消費するのが難しくなり、肥満につながります。
血糖値スパイクを避けるのにも、おやつオキカエは使えます。
食物繊維が豊富な素材そのままおやつは、食べても血糖値の増減が緩やかです。
空腹を感じた時、少しつまむことで、血糖値スパイクを防ぐことができます。
おやつコントロール②食品の裏を見る
現在販売されている食品は、システム1に効果的に訴えて、思わず購入したくなるなるよう工夫されています。
・可愛いキャラクターや素敵な芸能人による宣伝とパッケージ(ハロー効果)
・お買い得!セール!季節限定!期間限定!今しか買えない(損失回避)
・ビタミンC入り!カロリーオフ!学校保健協会推奨!健康に良さそう、、、(信じる)
食品パッケージの表だけみても、システム2はうまく働くことができません。
「このジュース美味しそう、飲みたい!(システム1)」
「でも飲んで大丈夫かなあ、カロリーオーバーにならないかなあ。ビタミンC入り・カロリーオフって書いてあるし、健康に良さそうだからいいか!(システム2)」
そこで、食品の裏、食品表示を確認することをお勧めします!
栄養成分表示を見れば、エネルギーが分かるとともに、ジュースなら糖分(「炭水化物」の欄)がどのくらい入っているのか確認できます。
糖分をお砂糖に置き換えると、下の栄養成分の500mlペットボトル1本のお砂糖の量は、50.5gになります。
1日の間食のエネルギー目安量は200kcal程度、1日の砂糖の摂取目安量は10~20g(個人差あり)と言われています。
上のジュースを1本飲めば、1日分の間食エネルギーと3~5日分の砂糖がとれてしまいます。
ちなみに、「カロリーオフ」表示は、食品では100gあたり40kcal以下、飲用では100mlあたり20kcal以下であれば表示できるようになっています※1。
カロリーオフだからと、むやみに飲みすぎるのは危険です。
最近はノンカロリーの商品も多く出ています。カロリーゼロだからいくら飲んでも大丈夫、と思ったら危険です!実はカロリーゼロの飲料を摂取すると、その後食欲が増え、1日トータルの摂取カロリーで見ると、同じになる傾向にあることが複数の先行研究で指摘されています。ノンカロリーで食事のコントロールをするのは難しそうです。
「ビタミンC入り」や「カロリーオフ」といった表面の表示だけで判断するのではなく、栄養成分表示を確認し、具体的にどのくらいのエネルギーと糖分が入っているのか確認したうえで取り入れるようにしましょう!
おやつコントロール③基本の食を食べる
栄養成分表示を確認しても、食べすぎる衝動を抑えられない!というひともいるでしょう。
そういった、お菓子がやめられない、とまらない衝動を根本的に解決してくれるのが、「基本の食を食べる」です!
そもそも、どうして無性にお菓子が食べたくなるのでしょうか。中毒症状が出ていない人の場合、お菓子を食べたくなる衝動の正体は、「エネルギー不足」だと考えられます。生きていくためのエネルギーが足りていないから、カロリーの高いお菓子やジュースを求めるのです。
でも、お菓子やジュースをとっても、エネルギーに変えるために必要なビタミンやミネラルをとっていなければ、エネルギーは足りないまま。
逆に、ビタミンやミネラルを十分にとることができる食事をしていれば、「たべたい!」という衝動を抑えることができるのです。そして、本当に体に必要な食べ物を理性的に選びやすくなります。
でも、「基本の食」とは、具体的にどんな献立なのでしょうか?
次回詳しくご紹介します!
※1消費者庁https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/health_promotion_180615_0003.pdf)
4.分かっているのに変われない。食生活改善が難しい理由(後編)
現代は自然と食生活が乱れる時代
食生活改善を邪魔するのは、人の思考だけではありません。
現在の私たちは、
何も対策をしなければ、自然と食生活が乱れてしまう環境におかれています。
■好きな時に好きなものを好きなだけ買える社会
スーパー、コンビニ、ファミリーレストラン、ファストフード店など、
おなかがすいたと思ったら、それこそ深夜でも食べることができる店は、今や当たり前になりました。
飢餓時代を乗り越え、
人類は好きな時に好きなものを好きなだけ買える社会を獲得したのです。
しかし、人間の脳は飢餓時代のまま。
あいかわらず、カロリーの高い甘いもの、脂っこいものを本能的に求めてしまいます。
その本能に答えるように、企業は次から次へと魅力的な商品を生み出します。
お買い得!(今買わないと損しちゃうかも「損失回避の法則」※1)前回記事参照
期間限定!(今食べないと、もう食べられないかも「損失回避の法則」)
かわいいキャラクターがPR(好きなキャラクターがPRする商品はすべて素晴らしくみえる「ハロー効果」)
加えて、いかにも本能を刺激するような、おいしそうな食品広告はいたるところにあふれています。
道端、テレビ、携帯電話・・・
広告を目にしない日はないくらいです。
システム1が反応しやすい、視覚と聴覚をフル活用した、考え抜かれた広告にあふれた環境の中で、理性としてのシステム2はあまりにも無力です。
■体にいいものほど高い
数々の誘惑を断ち切り、体にいいものを食べようと思ったら、次に待ち受けるのがお金の問題です。
現在日本の加工食品の価格は、甘いもの、脂っこいものは安く、健康に配慮したものは高い傾向があります。
理由は明確です。
砂糖と油は安く、野菜や果物などの素材はそれらに比較すると高いからです。
100%ストレート果汁のジュースをつくるより、無果汁で砂糖と酸味料、香料を添加したジュースの方が安く作ることができます。
しかも、天然の素材は季節や天候で収穫量が変わってしまう不安定なもので、保存するにも費用が掛かります。皮をむいたり繊維を取り除いたり、加工にも手間がかかります。
それに対し、砂糖や油は常温で保存できるうえに、収穫量も安定しています。輸送もはるかに容易にできます。
様々な技術革新により、素材を使っていなくても、本物らしい風味を作り出すことができるようになっています。
そうなると、加工食品にわざわざ高くて不安定な素材を使う理由はなくなってしまいます。
現在は、健康志向ブームですので、天然素材をふんだんに使ったことを売りにしている商品も出てきていますが、そういった商品はまだまだ価格が高い傾向にあるのではないでしょうか。
そうなると、損することが許せないシステム1は、安い食品を選びたくなってしまいます。
海外の大学生への調査でも、健康的な食行動を阻害する主要因のひとつは、健康的な食品の価格の高さであると報告されています※2。
■ストレスフル、疲労は不健康な食事を引き寄せる
この環境に追い打ちをかけるのは、ストレスと疲労です。
現代はストレス社会だといわれています。
誰かに怒られて落ち込んだ後のランチ時、
仕事で疲れた夕方16時、
無性に甘いものが食べたくなった経験はないでしょうか。
そう。ストレスが溜まっているとき、疲れているときは、甘いもの、脂っこいものへの欲求が高まってしまうのです!
また、すでにお伝えしたとおり、
疲れているとき、感情的な時はシステム2がシステム1を擁護してしまいます。そのため、ストレスが溜まっているとき、疲れているときに理性で食べることを阻止することなんて、もはや無理ゲーです。
・好きな時に好きなものを好きなだけ買える社会
・体にいいものほど高い
・ストレスフル、疲労は不健康な食事を引き寄せる
この3つの負のトライアングルにより、現代は自然と食生活が乱れる時代となってしまっているのです。
いよいよ次の回から、この絶体絶命に感じる私たちの食環境と、甘いもの大好き脳でもできる!食事を変えていくシンプルな方法についてお伝えしていきます。
■参考資料
※1 ダニエル・カーネマン:ファスト&スロー、早川書房、2012年
※2 Hilger J, Loerbroks A, Diehl K.:Eating behaviour of university students in Germany: Dietary intake, barriers to healthy eating and changes in eating behavior since the time of matriculation.Appetite.10,100-107(2017)
3.分かっているのに変われない。食生活改善が難しい理由(前編)
「ダイエットを始めようと思って、もう1年がたつ」
「揚げ物、甘いものがやめられない」
「自炊しようと思っているのに、気が付けば外食ばかり」
こんな経験はありませんか?
自分はなんて意志が弱いんだ。めんどうくさがりだからしょうがない。
そんな風にあきらめる必要はありません。
実は、食生活を変えることが難しいのには理由があります。
この理由を知れば、適切な対策をとることができるようになり、今より楽に食生活を変える方法を身に着けることができるでしょう。
頭の中に2人の自分がいる!
■変わるのを全力で阻止するシステム1
まずは、この写真を見てください。
・・・・・・・・・・・
どんな風に感じましたか?
おいしそう!たべたい!
よだれがジュル。。。
甘いものが嫌いな人以外は、そんな風に感じたんじゃないでしょうか。
そして、よくよく観察すると体も反応している(よだれジュル)。
このように、大好きな食べ物を見た瞬間に反応するのは、頭の中のシステム1という思考です。
人間の脳には、システム1、システム2という2つの思考があるといわれています。
これら2つの思考は、ある時は支えあいながら、ある時は拮抗しながら私たちの日常をささえています。
システム1は、反射的な早い思考
システム2は、じっくり考える遅い思考
と言われていて、それぞれ対照的な特徴があります。
システム1の特徴は、無意識、省エネ、即反応、即行動です。
人間が動物として生きていくために必要な思考だといえます。
その他、こんな特徴※1があるといわれています。
システム1の特徴
1.好きか嫌いか即座に判断する
例)人は見た目が9割、第1印象は3~5秒で決まる「メラビアンの法則」
2.自動的かつ高速で機能し、自分でコントロールする感覚はない
例)おいしそう!よだれジュル
3.訓練すれば、反応や直感を作れる
例)テニス選手が練習を重ねて、無意識にボールに反応できるレベルまで達する
4.疑わずに信じる
5.信じたことを裏付けようとするバイアスがある
例)確証バイアス:「今の変わらないままの自分が正しい」を裏付ける情報を集め始める
6.感情的な印象で全てを評価する(ハロー効果、後光効果)
例)好きな人がやることはすべて素晴らしく思え、嫌いな人がやることはすべて腹立たしく感じる
7.手元の情報だけを重視し手元にない情報は無視(見たものが全て)
8.状態よりも変化に敏感
9.損失回避の法則:損した時の痛みは利益の2倍強く感じる
10.保有効果:自分が持っているものを実際の価値よりも(たいてい2倍)高く見積もる―サンクコスト:「せっかくここまで○○したのにもったいない!」続けることで失う損失より、続けて来た時間や労力にとらわれて合理的な判断ができない
・・・・・実際にはまだまだ続きます・・・・・・・
ここでピンときた方もいるのではないでしょうか。
システム1が変わることを全力で阻止してくるのは、この⑧⑨⑩の特徴のためです。
変わることに敏感に反応し、変わることで失うものがある場合は、たとえ得られるものがあったとしても、かたくなに阻止してしまうのです。
例えば、ダイエットをしたいと考えていても、これまでいつもあったおいしいものを食べる機会を失うことにシステム1は耐えられないのです。
変化を嫌う特徴は、もともとは生命維持のためでした。
社会が形成されるより前、人間が生き抜く環境は過酷でした。
これまで生きてこられた環境や方法を下手にかえると、死んでしまうかもしれません。
―いつも利用している水飲み場に見慣れない動物がいる。
―新しいえさ場には、どんな危険があるかわからない。
生き抜くため、こんな変化に敏感になり、少しでもリスクがある場合は簡単に変化に飛びつかなくなったのです。
■甘いもの、脂っこいもの大好きシステム1
また、飢えて死なないように、システム1は食べ物の情報にも敏感です。
今みたいに飽食の時代は、せいぜい50年程度のものです。
それ以前は、ずっと飢餓との戦いでした。
今食べないと、次いつ食べられるかわからないのですから、
食べ物を見つけたら即食べるのが、生存本能として当然なのです。
さらに、現代の私たちが避けたいカロリーの高い甘いもの、脂っこいものは、
生存本能的には何としてでも食べておきたいものなのです。
■賢いけどすぐ疲れちゃうシステム2
しかし、この生存本能、現在の社会では、先ほどのダイエットの例のようにたびたび問題になります。甘いもの、脂っこいものを本能のままに食べ続けたら、生活習慣病になり、生命も脅かされます。このような問題を回避する際、システム2が活躍します。
システム2の特徴は、意識し、ゆっくりよく考えて判断、行動することです。
そのため、システム2は、人間が社会的生活を送るうえで必要になってきた思考だといえます。
こう聞くと、システム2は知性的で有能な秘書のようですが、弱点があります。
それは、疲れやすく、感情的になっているときはシステム1を手放しで擁護してしまうことです。
例えば、先ほどのケーキを見たとき、
システム1は、反射的においしそう!たべたい!と思い、生命維持のため、カロリーの高そうなケーキをすぐに食べようとします。
一方、システム2は、ダイエット中だったことを思い出し、ケーキを食べることを我慢しようとします。しかし、我慢すればするほど、ケーキのことが頭から離れなくなり、疲れきってしまったシステム2は、ケーキを食べることの言い訳をしはじめます。
今日は疲れてるし、せっかく買ってきたんだし、次いつケーキ食べられるかわからないし、ケーキに乗っているイチゴはビタミンCたっぷりで美容にいいし、食べないとストレスがたまるし、ダイエットは明日からにしよう。。。
このように、往々にして、システム2はシステム1にひっぱられがちです。
これらシステム1,2の働きと特性をしらずに食生活を変えることは困難を極めます。
「ダイエットは明日から」や、3日坊主はこうして出来上がるのです。
システム1は、変化を全力で阻止してくる
システム2は、疲れやすくシステム1を擁護しがち
この特性を踏まえたうえで、本能に逆らわず食生活を変える方法について紹介していきます。
■参考資料
※1 ダニエル・カーネマン:ファスト&スロー、早川書房、2012年
2.ただ「食べる」のはもったいない!食事は自分への最大の投資!
食事が健康に関係しているのはわかるけど、いまいちやる気にならない。。。
いざ、自炊をしようと思ってもなかなか腰が上がらない。
そう思って、二の足を踏んでいたらもったいない!
食事を変えることで、不調だけではなく(前回の記事参照)、様々なことが変わってきます。
食事を変えて、パフォーマンスアップ
毎朝すっきりと目覚め、やる気にあふれ、冴えた頭脳とあふれる体力で目標達成に向けて様々な困難を乗り越えていく・・・
そんな人生も、夢ではないかもしれません。
現在、様々な研究により食事と、意欲や集中力、学力、体力、精神力などの日常生活のパフォーマンスとの関係が明らかになっています。
■朝ごはんで集中力アップ
朝起きたとき、私たちの脳とからだは飢餓状態、低血糖状態になっています。
朝ご飯を食べないと、低血糖の状態が次の食事まで続きます。
そして、1日1食や2食など、時間をあけて食事をとるとき、血糖値は急上昇し、その後急降下します。
この、急降下の時、急激な低血糖状態になり、眠気やだるさを感じたり、集中力の低下、イライラがおこりやすくなったりします。
逆に、朝ご飯を食べると、血糖値が上がり、脳とからだがエネルギーを確保することができるとともに、血糖値の乱高下を防ぐことができます。
その結果、集中力や、思考力、運動機能が正常に働き、最良のパフォーマンスで生活することができると考えられます。
文部科学省の小学生への調査によると、朝ご飯を食べている子のほうが、学力、体力の点数が高くなっています。
さらに、朝食のおかずの数が多い子ほど学力調査の点数が高い、というデータもあります。
さらに、2009年に全国の35歳~44歳の4年生大学・大学院を卒業した会社員500名を対象に実施された調査※4によると、朝ご飯を毎日とっている人は、そうでない人と比べて、第1志望企業の就職率や年収にも差がみられたと報告されています。
また、大塚製薬の成人男性 20名を対象にした調査※5によると、朝食をとっていないグループと比べて、複数のおかずをとっているグループは疲れにくく、集中度が高く、作業量が多い傾向がみられました。
このように、朝食一つとっても、食事が様々なパフォーマンスと関係していることが分かります。
■健康維持に1ドルの投資を行えば、3ドルの節約になる
現在、糖尿病の患者数が増加しています。
平成29年国民健康・栄養調査結果によると、70歳以上男性の4人に1人、女性の5人に1人が「糖尿病が強く疑われる者」とされています。
糖尿病と診断されると、通院などで医療費がかかってきます。
投薬なしの食事と運動療法では年間15万円(窓口負担額は3割の場合4.5万円)、
症状が悪化し服薬1種類で、32万円(窓口負担9.5万円)、
インスリン注射と投薬で44万円(窓口負担13.2万円)、
最終的に、インスリン注射、投薬と人工透析で年間400~600万円(高額療養費制度特例の場合窓口負担12万円)となります※6。
糖尿病以外に高血圧、高脂血症、腎症などの病気がある場合は、医療費はさらに増えるそうです。
また、ある記事※7では、すべての年代で医療費3割負担として50代から80歳で死亡するとした場合、自己負担分の医療費がどの程度かかるか、比較がされています。
その結果、「ほぼ健康体のまま、2年に1度人間ドッグに通い、最後は自宅で亡くなった方」と、「55歳で糖尿病、68歳で脳梗塞、70歳から寝たきりになった方」とでは、30年間で医療費自己負担分に1156万円の差が出たと報告されています。
さらに、世界250社、約11万4000人を対象とした研究結果※8によると、健康投資(健康教育プログラムの提供)1ドルで3ドルのリターン(欠勤率の低下、不調の解消、医療費削減、モチベーションの向上など)があったと報告されています。
このように、不調や生活習慣病(生活習慣次第で発病を防ぐことができる病気※8)になるかならないかで、医療費に加え、欠勤、モチベーション等の社会的なコストも変わってきます。
不調や生活習慣病を予防し、さらに、現在のパフォーマンスもあがるとなれば、食生活にお金と時間をかけることは、最大のリターンをもたらす最高の投資といえるのではないでしょうか。
いい就職先につくために、子どもを塾やスポーツクラブに通わせるのもいいですが、その前に、食事ですよ!奥さん!
■参考資料
※1 文部科学省:「全国学力・学習状況調査」(平成27(2015)年度)
※2 農林水産省:平成30年度 食育白書https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/pdf/b_2_2.pdf
※3 スポーツ庁:「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(平成27(2015)年度)
※4東北大学加齢医学研究所・川島隆太研究室「朝ごはんに関する意識と実態調査」https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/20100112_01.pdf
※5 大塚製薬:食事の内容が脳と体のパフォーマンスに影響https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/balance/performance/#tab04
※6厚生労働省保険局調査課:平成27年度 医療費の動向、糖尿病ネットワークhttps://dm-net.co.jp/seido/02/
※7 PRESIDENT 2012年11月12日号 https://president.jp/articles/-/12028?page=2
※8 経済産業省:健康経営の推進について:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000157832.pdf
※9 生活習慣病予防協会:http://www.seikatsusyukanbyo.com/prevention/about.php
1.「朝起きられない」「疲れやすい」はなぜ起こる?
☑朝起きるのがつらい
☑疲れやすい
☑肩がこる
☑やる気が出ない
☑ニキビ・肌荒れがある
☑イライラする
☑便秘
☑風邪をひきやすい
☑アレルギー
☑めまい
・・・・・・・・・
こんな症状に悩まされていませんか?
東京都南多摩保健所が実施した、「青年期の食行動等に関する調査報告※1」によると、どれかひとつでも当てはまる人は85%、女性では生理不順が追加されると99%にもなるそうです。
この、病気ではないけど、なんとなく不調…という状態。
当たり前すぎて、不調だと感じていない人もいるかもしれません。
以前、1週間に1度しか排便がないけど、子どものころからそうだったから便秘とは思わなかった、という人もいました。
実は、これらの「なんとなく不調」な症状と食生活には関係があることが分かっています。
平成22年度に小中学生を対象に実施された調査※2によると、朝食を「必ず毎日食べる」と回答した子は、欠食傾向のある子に比べて、「朝なかなか起きられず、午前中、身体の調子が悪い」「食欲がないことがある」などの不調を訴える割合が低かったと報告されています。
また、高校生※3、大学生への調査※4でも、野菜摂取不足や栄養バランスの悪さ、欠食などの食事の乱れがある人ほど様々な不調を訴えている傾向にあること、欠食や栄養の偏りは,1日のエネルギー摂取不足による体力の低下や血糖低下による眠気や倦怠感(だるさ)をもたらすことなどが指摘されています。
もちろん、不調には睡眠や生活リズム、運動不足、ストレスなど、様々な要因が関係しているため、食生活を改善すれば、すべて解決!というわけにはいきません。
しかし、食生活の改善は、現在感じている様々な不調を多少なりとも改善できる可能性を秘めているのです。
私は、中学生のころ冒頭の不調のほとんどすべてに悩まされていました。
不調のため、毎日学校に行くのもつらかったのですが、その状態が長く日常だったため、症状を改善できる方法があるだなんて思いもしませんでした。
しかし、大学生になり、食について学ぶ中で、これらの不調の原因の一つが食生活の乱れであり、食生活を改善することでこれらの症状も改善される可能性があることを知りました。
その時、私は雷が落ちたような衝撃を受けました!
さんざん苦しんできた不調に、解決方法があり、しかもそれが食生活を変えるというとても簡単な方法でできる(かもしれない)だなんて!
なんで今まで誰も教えてくれなかったんだ!と、とても悔しかったのを覚えています。
この悔しい体験が、私が食生活の研究を始めたきっかけの一つになりました。
話は少しずれましたが…これらの不調を少しでも感じている人は、食生活を見直してみることを強くお勧めします!!
次回は、食生活を変えることは、不調のみならず、私たちの未来を変えることにもつながるかも?という研究を紹介していきます!
■参考資料
※1 東京都南多摩保健所:青年期の食行動等に関する調査報告
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/minamitama/gyoumu/eiyou/eiyou3/m_seinen_cho.html
※2 独立行政法人日本スポーツ振興センター:平成22年度 児童生徒の食事状況等調査報告書【食生活編】:https://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/tyosakekka/tabid/1490/Default.aspx
※3 原田 昭子, 矢埜 みどり, 岸田 恵津, 大瀬良 知子 、高校生の食物摂取状況と不定愁訴との関連、食生活学会、22、213-221(2011)
※4 佐藤公子、小田滋:看護生徒の健康感と食生活の関連、小児保健研究、66、649-659(2007)