6.なりたい自分になる食事術②食事の型をもつ
バランスのいい食事って何?
よく、「バランスのいい食事」という言葉が使われます。
しかし、そもそもバランスって何でしょう?バランスのいい食事を今晩作ろうと思ったら、どんな献立にしますか?
食事は1日3回あります。毎回考えてると、献立を考えるのが苦痛になってしまうかもしれません。
そこで、あれこれ考えなくても自然と(比較的)栄養バランスがとれた食事になる、「食事の型」を3つ紹介します。
自分に合った型を使ってみてください。
□食事にも自由度、遊び心が欲しい→①マイプレート
□料理何品も作れない→②3色そろえる
□献立を考えるのがめんどくさい→③基本の食
①マイプレート
米国農務省(USDA)は2011年、健康的な食生活を促進する米国人向けの食事ガイドライン「マイプレート(MyPlate)」を発表しました。
健康でバランスの取れた食事をするための手引きになっています。
※1
お皿の半分は野菜、果物。4分の1は、全粒(白くない)穀物。残りの4分の1は、魚や鶏肉など健康的なタンパク質です。全粒穀物は、例えば玄米やそば、大麦、全粒粉パン、全粒パスタなどです。
でも、白米を食べていたのをいきなり玄米に切り替えるのは、ハードルが高いし続かないかもしれません。そこで、初めは白米に麦や雑穀、部搗き米をくわえて、しだいに白米の割合を減らしてみるのは、いかがでしょうか?
②3色そろえる
一度に何品もそろえられない〜!という方におすすめの方法です。
食品を働きごとにグループ分けして、色分けしています。
黄→主食:体を動かすエネルギーになる。ご飯、パン、麺、粉もの、芋類など
赤→主菜:体を作るもとになる。肉、卵、魚類、豆類など
緑→副菜:体の調子を整える。野菜、キノコ、海藻類など
この3色を、朝、昼、夜の毎回の食事でそろえるのです。少し難しそうに感じるかもしれません。でも、3つの仕切りのあるワンプレートにそれぞれの色の食品を入れていけばいいので、忙しい朝にもおすすめです。
例えば、我が家のある日の朝ごはんは、5分搗きご飯(黄)、プチトマト(緑)、ゆで卵または納豆(赤)です。
黄、赤、緑をそろえることを意識すれば、難しく考えなくても、比較的栄養バランスのとれた食事にすることができます。
③基本の食
食事は1日3回あるので、毎回献立を1から考えるのは大変です。
さらに、栄養バランスを考えた献立となると・・・
そこで、
健康のためにどんな献立にすればいいかわからないとき、
今晩の夕食を何にしようか迷ったとき、
立ち返ることができる食事として、「基本の食」をご紹介します。
「基本の食」は、「ごはん、具沢山みそ汁、おひたし、焼き魚」の献立です。
この献立で、野菜を二皿食べることができるうえ、主食(ごはん)、主菜(焼き魚)も入っています。
この形、「1食に何を、どれだけ食べたらよいか」という基準にを自然と満たせるものになっているんです。
「1食に何を、どれだけ食べたらよいか」のわかりやすいものさしとして、「3・1・2弁当箱法」※2があります。
「3・1・2弁当箱法」は、自分に合った容量のお弁当箱の半分に主食(ご飯、パン、麺など)、半分の3分の1に主菜(肉、卵、魚、豆類など)、半分の3分の2に副菜(野菜、海藻、キノコ類)を入れると、健康な1食になるというめやすです。
「基本の食」は、ごはん(主食)が1皿、焼き魚(主菜)が1皿、味噌汁とおひたしで副菜が2皿となっており、主食の量を調整すれば、主食・主菜・副菜が「3・1・2」となるため、簡単に「1食に何を、どれだけ食べればよいか」を満たすことができます。
また、みそ汁に使われているかつお出汁には、油や砂糖と同じようにやみつきになるような嗜好性が生じることが報告されています※3。そのため、あまいもの、脂っこい物への欲求を押さえることができる可能性が示されています※4。その他、抗肥満作用※5や疲労回復作用※6など、さまざまな健康的メリットがあることが報告されています※7。
魚は、多くの疾病に対する予防効果が報告されている優良食材であり※8、おひたしは、熱を加えることで、不足しがちな野菜をたくさん食べる事が可能となる調理法です。
こんな、いいことづくめの「基本の食」。準備するのがめんどくさそう…と思っていませんか?
実は、コツをつかめば、作業時間10分以内で完成する、超お手軽メニューでもあるのです。
焼き魚は、切り身や干物を使えば、トースターで、10~20分焼くだけでできあがります。
おひたしは、お好みの野菜をたっぷりのお湯で、2分茹で、水にさらして軽く絞ればできあがりますが、冷凍野菜を使うと、さらにお手軽に用意できます。
味噌汁も、➀だしをとる②野菜を切ってだしで煮る③野菜が煮えたら火を止め味噌をとく、の3ステップで完成する簡単メニューです。
しかし、朝や忙しいときなど、さらに簡単にみそ汁を作る方法をご紹介します。
・マグカップみそ汁
大き目のマグカップに小分け鰹節半パックくらいとみそ小さじ1、乾燥わかめや乾燥野菜、豆腐などお好みで加え、お湯(目安150㏄)を加えてよく混ぜるだけで、だしの風味の感じられるみそ汁が完成します。所要時間約3分!お試しあれ。
この「基本の食」を10分で調理できるようになったら、疲れて帰ってきた夜にも、健康的な食事をとることができるようになります。
ぜひ、一人暮らしを始める前、あるいは社会に出る前に、繰り返し作って、10分以内に準備できるようになっていてください。
また、「基本の食」をベースに、様々なアレンジを加えることもできます。おひたしの野菜を変えたり、味噌汁の具材を変えたり、焼き魚を煮魚に変えたりすることで、バリエーションは無限になります。味付けや食材など、様々なアレンジを楽しんでみてくださいね。
以上、3つの食事の型をご紹介しました。取り入れられそうなものはありましたでしょうか?
私は、朝は「3色そろえる」、昼はマイプレート、夜は「基本の食」というように、時と場合によって使い分けています。
状況に応じて、一番使いやすいものを使ってみてください。
引用文献
※1 https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/healthy-eating-plate/translations/japanese/
※2足立己幸, 針谷順子. 3・1・2 弁当箱ダイエット法.東京: 群羊社;2004.
画像:https://shokuseitaigaku.com/2014/wp-content/uploads/2014/04/rogo1.jpg
※3 伏木亨編 食の文化フォーラム24味覚と嗜好、ドメス出版235-256.2006
※4 川崎寛也他、「かつおだし」風味の食餌の初期経験が嗜好性に及ぼす影響、日本調理科学会誌36.2.116-122.2003
※5 笠岡誠一他、ヒスチジンと抗肥満、臨床栄養109.307-312.2006
※6 村上仁志、かつおだしの疲労回復効果、科学と工業、57.522-524.2004