たべラボログ

熊本県立大学の食育推進グループ「たべラボ」から食に関する情報をお届けします。

6.なりたい自分になる食事術 ⓷野菜を1日5皿食べる

なぜ野菜をとらないといけないの?

f:id:taberabo-puk:20210101101952j:plain

野菜をとることが大事なのはわかっているけど、肉やおやつほど食べたいと思わないし、高いし、手間はかかるし、そもそもなんで野菜を食べないといけないの?

という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

野菜をとることのメリットや、とらないことのデメリットは多々ありますが、今回は「腸内細菌」にスポットを当ててみたいと思います。

おなかのなかに2㎏の生物が住んでいる

みなさん腸内細菌について、どの程度知っていますか?

腸内細菌が腸内環境にかかわっていて、それが健康にも影響している事は多くの方がご存じだと思います。

では、この腸内細菌、1人のおなかの中にどのくらいいるか知っていますか?

 

その数、およそ100兆とも、1000兆ともいわれ、2㎏以上の重量があります。

2㎏というと、小さめの米袋くらいあります。実際に持ってみると、結構重いです。

自分のおなかの中にそんなにたくさんの、世界人口(2020年現在77億9500万人)よりもはるかに多い数の生命がいると思うと、不思議ですね。

 

腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌にわけられ、からだの健康のためには善玉菌の割合を増やすことが重要です。そして、善玉菌は私たちのおなかの中で、驚くべきはたらきをしてくれています。

病気を予防し、幸福感をつかさどる善玉菌

善玉菌は、酢酸や乳酸等をつくりだすことで、うつ症状を抑え、発がん性を持つ腐敗物質がうまれるのを防いだり、食中毒菌や病原菌の感染を予防してくれる働きが報告されています。また、なんとビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸葉酸)や"幸せホルモン”と呼ばれるセロトニン等のホルモンを作り出すこともわかってきました。※1,2

ということは、健康や美容、幸福感までも腸内細菌がつかさどると言っても過言ではないのではないでしょうか。

おなかの中の小さな生き物たちが、私たちが生きる上で必要不可欠なはたらきをしてくれていると思うと、いとおしく感じてきませんか?

この善玉菌を増やす方法の一つが食物繊維をとること。

そして、食物繊維が豊富に含まれているのが、そう、野菜なのです。

いとおしい腸内細菌たちに、日ごろの感謝を込めて食べ物を送る気持ちで、野菜をたべてみましょう!

 

1日にどれくらいの野菜を食べればいいの?

 f:id:taberabo-puk:20210116090451j:plain1日に食べたほうがいい野菜の量は、350gと言われています。

生の野菜だと、両手を広げたうえに目一杯乗せたものが3個分。

火を通した野菜だと、片手の上に乗せたものが3個分。

生か、火を通したかで2倍くらい食べる量が変わります。

そのため、たくさん野菜を食べたい場合は、火を通すのがおすすめです。

 

また、小鉢(1皿70g程度)で言うと、5皿分が必要です。

f:id:taberabo-puk:20210116091100j:plain

5皿分の小鉢を食べるイメージをすると、朝1皿、昼2皿、夜2皿食べるのがよさそうです。

でも、そんなに毎回たくさんの野菜料理を準備できないよ~!と思う方が多いのではないでしょうか。

そこで、手軽に野菜をとる「クックレスミール」をご紹介します。

 

洗うだけ、切るだけ、チンするだけのクックレスミール

クックレスミールとは、料理の負担を減らした食事のことで、私が作った造語です。

料理って、本来楽しいもので、生きる上で身につけた方がいいスキルです。それを負担とは何事か!と怒られそうですが、クックレスミールミールを生み出すきっかけになった出来事がありました。

 

ママ友と一緒に遊んでいた時のこと。食事の話になりました。

私「今日の夕ご飯何にしようか?」

ママ友「最近ずーっと、ご飯何を作るか考えてる気がする。そして、ご飯を準備するためにずっと台所にいる。もう、しんどい」

この時、私ははっとしました。

家族の健康を守る食卓。でもそれを支えてる人が苦痛になってしまったら、続けていくことは難しい。そもそも、手間暇かけないと健康的な食事って準備できないのかな?

考えあぐね、私の出した答えは、ノーでした。

素材が良ければ、あれこれ手を加えなくても、美味しくて健康的な食事を準備できる!

そう実感してから、実験的に、一回10分程度で準備が完了する食事を作り始めました。もちろん、「3色そろえる」「基本の食」「野菜1日5皿とる」というルールは守った上で。

プチトマトやアルファルファ、ベビーリーフは洗うだけ。

刺身こんにゃくやめかぶ、もずく、納豆、豆腐は、そのまま。

きゅうり、キャベツ、パプリカ、セロリなど季節の野菜は切るだけ。

玉ねぎなどの硬い野菜、小松菜、クレソンなどは、少し切って、チンするだけ。

里芋、とうもろこし、オクラはそのままゆでるだけ。

卵、あじの干物、切り身のシャケ、ししゃも、鳥もも肉は、焼くだけ。

味付けはシンプルに、塩とオリーブオイルか、味噌かポン酢。

そうして準備した食事は、彩豊かで、予想外に美味しかったのです!

旬の食材をシンプルな調理法と味付けで食卓に出せば、素材そのものの美味しさを味わうことができるのです。

この美味しさと簡単さにはまった私は、それ以来10年間、平日はずっとクックレスミールで家族の朝食と夕食を準備しています。

手の込んだ食事が恋しくなる時は、少し時間をかけて調理しますが、それでも30分以内。

無理せず旬の素材をバランスよく食べ続けることができたからか、私の体調はどんどん良くなっていきました。以前より病気にかかりづらくなった上、毎日快腸(1日3回出ることも!)、お肌も20代より綺麗になっている気がします。さらに、全然太らなくなりました。

 

f:id:taberabo-puk:20210128064449j:imagef:id:taberabo-puk:20210128064505j:imagef:id:taberabo-puk:20210128064518j:image

クックレスミールにより、心の負担が軽くなり、食事づくりを楽しめる余裕も出てきました。

今では、梅のシロップや梅酒、紫蘇ジュース、ちりめん山椒、味噌作り、甘酒作りなど、季節の手仕事も楽しんでいます。

食事作りが苦痛になってしまった方、健康的な食事が続かない方は、心と体が軽くなるクックレスミールを、ぜひお試しください!

 

参考

※1 清水純、腸内細菌と健康、厚生労働省e-ヘルスネット、https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

※2 須藤信行、 脳の機能に関与する腸内フローラと「脳腸相関」、ヘルシスト242、株式会社ヤクルト(2007)